専門家投稿:「人教育を通し永遠の防人として燃焼~」

 今回12弾目で、一年に渡り投稿させて頂いた。海上自衛隊を54歳で定年し任務完了、「老兵は死なず、ただ消え去るのみ・・」これでは申し訳ない。次なるミッションは何か?自分から飛び込んだ海上自衛隊という世界で、「国防」や「組織」及び「教育」について多くの関心を持てた事と、育成された事に感謝し、お返しできる事は?と考え『日本の若者を育てたい』『若者と接点を持つことで具体的に又は精神的にサポートし、若者教育へ貢献したい』このことが浮かんだ。何故このような事項にたどり着いたかは、【ゆとり世代】【いじめからの自殺】【自己中心・無関心世代】等、若者の嫌な面でのタイトルとなる話題が多くの世論を賑わし、果てには【自衛艦でいじめ・自殺】のニュースを聞いて、どんなに知識が豊富になっても、知恵として使えない者が増えては、教育国家ではない。知識を知恵として使える者を育てる、人教育に関わりたいと思い、今は国立青少年交流の家でカッター研修の指導員をしながら、若者との接点を持ち、仲間の大切さや、組織における団結の必要性と達成感を認識させることで、人教育に少しは貢献できているのではと思っている。

 ここからは、自衛隊が世間からよく揶揄された「伝統墨守→唯我独尊」(海上自衛隊)「用意周到→動脈硬化」(陸上自衛隊)「勇猛果敢→支離滅裂」(航空自衛隊) を考察しながらも、宣誓文にある『ことに臨んでは危険を顧みず、身をもって責務の完遂に務め、国民の負託にこたえる』任務遂行の特色を履行している隊員が殆どであることを確信しつつ、根幹に意見を記載する。

 自衛官の宣誓の中に、『政治的活動に関与せず』の一文がある。国民の負託にこたえるのであるが、それは、国家の平和と独立を守る訳で、国を守っているのではない。国家は国民の民主主義で選ばれた政治家が統制をとっている訳で、自衛官や警察官のように武力を保持する者が政治に関与したら、最悪はクーデターになるからである。要するに、組織の歯車として動けるかどうかが、自衛官の根幹の資質に求められていると思う。国家が他国との折衝で必要と認識したら、その決断が任務となり、それが、国民の負託にこたえる最善の策となる訳である。それは、感情や思想を持つ事が無いというとではなく、意志のコントロールが必要ということである。どうしても自己の意志を反映しないと我慢できない者は、多くの国民に自分の意志を伝え国家の舵取り役である政治家を目指している。これは、国会議員、地方議員にキャリア、ノンキャリアの自衛隊経験者が居ることで証明される。

 過去に政治家に、物申した出来事があるので紹介する。3曹当時の事と記憶しているが、まだ、防衛庁時代で、地元選出の国会議員が防衛庁長官 (今の防衛大臣) に成り、錦を飾る意味合いもあり、部隊初視察を計画実施したが、視察当日の天候は雨、各部隊 (艦艇乗員含む) から集められた、出迎え行事参列者は、グランドで整列状態、天候不良の為ヘリコプターが遅れるとの知らせはあったが、現状待機で約1時間、流石に現場指揮官の判断で建物内に入ったが時すでに遅く、小雨ではあったが、甲種制服は濡れ鼠状態、出迎え参列はこの服装で可能なりや?の状況になり、急遽交代の参列員を、各部隊から再選出して至急集合となった。その上、参列員は半数に減らし、体育館で約2時間遅れで実施され、登壇の訓示で待って当たり前のようなお言葉があった。その後、直近の選挙で、現役大臣 (長官) の落選が現実の事となった。隊員とその家族の、怒りの票が大きく左右したことは言うまでもない。このことから、政治的活動には関与しないが、国家を統制する政治家(人)を選択することは可能であるということである。

 我々が、自衛官として、命をかけてでも守りたいもの、それは国民が選択した人が統制する【国家】の平和と独立を守る使命を遂行することである。全ての基本は、国家から小さな組織まで、人の集合体である、基本となる人が育成されなければ、良い国家も、どの様な組織も大成はしないと考える。とかく、事を動かすときには、大義名分・組織にとっての理屈等並べて人を動かそうとするが、個人が真に育成されていなければ、どの様な事項もまともには達成できない事を理解すべきである。基本の人教育に少しでも関わることで、老兵は死なず、国家にとって『永遠の防人』であれたらと願うばかりである。

By:永遠の防人(トワノサキモリ)